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BKSレポート 3

22nd Brewster Kaleidoscope Society Convention
22nd Brewster Kaleidoscope Society Convention vol3

コンベンション3日目は、本場アメリカ人作家に学ぶ、キティルソン夫妻の万華鏡教室への参加です。
とてもわくわくします。



  まずそのまえに、私の万華鏡教室体験記をすこしだけご紹介しましょう。

 私が初めて万華鏡を作ったのは、小学生のときでした。ステンドグラスで作るワンドスコープで、このときの講師は代永正樹さんでした。

 次は、柿原知子さんが講師を務める昔館の万華鏡教室でオイルチェンバースコープを作り、そして昨年の渡米直前には、山見浩司さんの教室に参加させてもらいました。ガラス選びから始まるステンドグラスの本格的なドライチェンバースコープで、 ほぼマンツーマンで指導していただきました。

 山見さんの教室では何度も失敗しながら、特殊なガラスのカットに悪戦苦闘したことが記憶に新しいです・・・。

 柿原さんのもとで助手(?) をさせてもらいながら、教室参加したときにも思い出があります。
生徒さんが作り終えて帰ったあと、いつまでも私だけ居残りが続き、結局2日ほど時間がかかってしまったのは、万華鏡作りで一番楽しいポイントでもあるオブジェクト選びだったのでした。


 さてキティルソン夫妻のアドバイスをもらいながら、オイルタイプの万華鏡作りに挑戦、先端部が回転する本格的なオイルチェンバースコープを作ります。

キティルソン夫妻が万華鏡作りを初めてから24年。万華鏡制作においてミラーをスティーブ、オブジェクトをペギーが担当し、お互いをリスペクトし合いながら共同作業でスコープを制作している事や、ガラスの購入先などの話を最初にしてくれました。

話している最中も2人の笑顔から夫婦の仲睦まじさが伺えて、終始和やかな雰囲気のなかアーティスト、リテーラー、コレクターの参加者で教室は行われました。

  まずは今回のアトランタでのコンベンションのロゴのイメージがペイントされた、本体になる筒と、オブジェクトケース、ミラー組み立ての際に練習用に使うアクリル板と、本番用の表面反射鏡、そしてV字型に組むミラー2枚の間に入れる黒の板などが配られました。

そしてミラー組とオブジェクト組にそれぞれ分かれて制作が進められました。
私は先にオブジェクト組に入り、ペギーの持ってきてくれた色ガラスやダイクロガラス、ビーズや貝などから、全て異なる色や形を吟味しながら、一つ一つを入念に選び抜きます。

一通りオブジェクトケースに摘んでミラーで覗きながら、抜いたり、拾ったり。
万華鏡作りにおいて私が一番好きな時間です。
でも一番時間のかかるポイントでもあり、しかもオイルに入れるとオブジェクトの色の栄え方が違ってくるので、それをイメージしながら選ぶのにはとても悩みました。

自分のオブジェクトを持参している人も。 光を入れながら何度もチェックします。

 ペギーはオブジェクトを選ぶ際に赤(又はピンク)、黄色、オレンジ、緑、ゴールドの5色と、さまざまな色彩に輝くダイクロガラスを2つから3つは必ず入れていると教えてくれました。

また今回も最後まで時間のかかったオブジェクト選びを終えて、触ってはいけない、傷つけてはいけない、苦心のミラーシステムの組み立てです。
一番集中しなければならないポイントなので、ミラーを組む前にスティーブが用意してくれたアクリル板で、まずはシミュレーションです。



そしていよいよ本番用の表面反射鏡です。

二等辺三角形の頂角が30度になるように予めカットされたガラスと板で組み立てます。

ミラーの固定には伸縮性のあるビニールテープを使用。
ミラーシステムの上部にレンズをメルトで固定。


 ミラーを組んだら最後は筒に入れる作業です。今回一番難しく感じたのが意外にこのパートでした。

昔館の教室ではテープ式のスポンジをミラーシステムの角に3本貼付けていたのを、スティーブでは綿を使用。制作者によってこのような違いもあるのかと思いました。

 ただ綿だと少し安定感に欠け、覗き穴の部分にミラーシステムを固定させるのが難しく、綿毛が邪魔したりと、ここで参加者のみなさん苦戦していました。

3時間のワークショップもあっという間に時間が経ち、オブジェクトケースにオイルを入れる作業は、キティルソン夫妻が仕上げてくれるということで、完成した作品は翌日受け取ることに。

 今回のワークショップに限らず、万華鏡を作る時にいつも思うことがあります。
スティーブの伝授するミラーシステムの組み方を真似ても、ペギーの作ったガラスを使ってオブジェクトを作っても、キティルソンスコープになることは絶対なくて、万華鏡はやはり作り手によってそれぞれ全く違うものになるという事が改めてよく分かりました。

万華鏡作りは“センス”と言ってしまえばそれまでで、いくら頭の中で万華鏡模様をイメージしようと、それに近づくのは大変なことで、“これだ!”と本当に思えるまでには何度も作って、どんなに時間がかかっても納得のいく1つの作品を作る上げる事が大事なのかな。と、何だか万華鏡作りに限らずに言える事かもしれませんね。

この記事をタイプしながら、いつだったか万華鏡制作において絶対に妥協を許さないチャールス・カラディモス氏が「万華鏡作りは人生だ。」と言っていたのをふと思い出しました。




レポート:荒木貴紀

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