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チャールス・カラディモス アトリエ訪問記

チャールズ
KIKIのアメリカ万華鏡作家アトリエ訪問記
第一弾は、米国万華鏡界ザ・ブリュースター・カレイドスコープソサエティーの古くからの重鎮であるチャールス・カラディモス邸を訪問。インタビューを交えた会話の一部と写真などをご紹介します。
kikiとチャールズ

チャールズ・カラディモス氏と会ったのは私が5才のとき、昔館に連れられて行ったシカゴでのコンベンションが最初でした。私がこの度アメリカに留学している所からチャールズ氏の自宅兼アトリエが近いことを知り、アトリエを訪問することを思い立ちました。

ある晴れた日の昼、知人の車に乗せてもらいチャールズ氏の家に向かいました。お宅はメリーランド州のダマスカス地域の平屋が並ぶ住宅街にありました。
チャールズ氏の招きでお宅の玄関を入るとまずキッチンがあり、更に奥に進むとジムにあるようなトレーニング機器が数台あり、<チャールズ氏は日頃から身体を鍛えているんだなぁ…>と、まずそれが第一印象でした。
トレーニング機器の隣にはオーディオ機器があり、その上にはいくつか自身の作品が飾られ、私はそのうちの一つを手に取り覗いた瞬間、すっと魅き込まれてしまいました。
ゆったりとくつろげる居間のソファーに私と万華鏡の好きな友人(私が毎週末英語の勉強で通っている教会の牧師夫人)とチャールズ氏で座り、親切で朗らかで抱擁力に溢れたチャールズ氏を前にしてインタビューをすることにしました。

チャールズさんは万華鏡をいつ、何がきかっけで作ることになったのですか?
学生時代に物理学を専攻していて、確率や光の屈折、反射などについて学んだことをきっかけに最初はステンドグラスに興味を持ち始め、自らも作るようになりました。
 制作をしているうちにガラス工芸の奥深さを感じ、1980年ころに確率や光について学んだことをより活かせる万華鏡作りをするようになりました。
ガラス棚
万華鏡作りにおいて、どんなこだわりを持っていますか?
まずルックスとカラー、この二つを大事にしています。そしてどんなに細かいことでも決して妥協しないこと。どうすれば自分が満足のいく最高な作品を作ることができるのか、私は20年前から常に考えて作品を作ってきたし、今もそれを追求しています。
ルックスでは円錐型とアーモンド型がチャールズ氏の印象にありますが、何故これらのスタイルを作り続けているのですか?
私は子どもの為に作っているのではなく、大人の娯楽として、大人が楽しむ為の万華鏡を作っているので、万華鏡を手にしたときの感触や見た目を大事にしています。内部に関しても光がどのように反射してオブジェクトのカラーが映えるのかなどを計算しながら制作しています。
鏡やステンドグラス選びで特に気をつけていることはありますか?
鏡はカスタムメードの表面反射鏡、ステンドグラスは明るい色を選ぶようにしています。
シカゴに注文で頼んだり、車でニュージャージーに買い付けに行ったりします。使ったことのない新しいガラスは直接見なければわからないので、なるべく自分で見て買うようにしています。
万華鏡の映像
万華鏡作りにおいて、影響を受けた他のアーティストはいますか? 又、アイディアはどのようにして生まれますか?
影響を受けたアーティストは特にいません。全ては自分の閃きから。日常のなかで、外から聴こえてくる鳥のさえずりや風の音などから感じる感覚的なイメージも風景などもスケッチに描いておきます。旅行も好きなので旅先でアイディアが生まれることもたくさんあります。作成していないものも含めて万華鏡のデザインは約150種類あります。
これから万華鏡作家を目指す人たちに何かアドバイスはありますか? 又、プロの万華鏡作家はどうあるべきだと考えますか?
基本をしっかり勉強すること。幾何学、物理学の知識。そして特にオブジェクトを選ぶ色のセンスは絶対的に必要です。“安くて楽”な方法を考えてはいけません。その為には忍耐力と正確さが必要です。細かいことにも気を抜かず、常に“最高”を求めて追求する研究心。とにかく作り続けて、勉強し続けることが大切だと思っています。
万華鏡が世の中でこうあって欲しいと思うことはありますか?
全世界、70億人の人々、一人一人に万華鏡を持ってほしいです。そうすることで人々は喜び、幸せな気持ちになれるでしょう。
1994年に日本でカレイドスコープ昔館が誕生したことで、カレイドスコープファンや日本人作家も出てくるようになりました。どのような印象を受けていますか?
日本の作家は3、4年前まで外国のアーティストの作品を真似たようなものが多いと感じていましたが、最近はいいものが増えてきたという印象があります。
ブリュースターソサエティーの活動や参加者に対して、より改善して欲しい点などはありますか?
今は一部の役員だけに仕事が偏り過ぎています。もっと役割を増やして仕事の分担ができれば活動の幅も広がると思います。例えば図書館などに万華鏡を一つ置くだけでもシェアを広げることの一歩になると思っています。
万華鏡を扱う店やスタッフに対してこうあって欲しいと思うことはありますか?
作家同様に万華鏡について勉強し、よく理解して欲しいです。そして万華鏡はどのようにして作られるのかをお客さんに説明して欲しいと思います。
オーナメント
お部屋にトレーニングマシーンやオーディオなどがありましたが、好きな音楽や人生の楽しみ方を教えてください。
アトリエとサイロ
身体を動かすことが好きで、気分転換にもなるので運動はよくしています。音楽は大好きで、誰か好きなアーティストというよりもジャンルは幅広く、特に60年代のロックが好きです。音楽から生まれるアイディアは内部のイメージが多く、例えばクラシックを聴くと淡く優しいパステルカラー、ロックは色鮮やかな明るい色、ジャズだとさまざまな色が混ざり合い奇抜なカラーイメージが浮かんだりします。これらのように聴く音によってカラーのイメージが変わります。最近はエレクトロな音楽も聴いていて、シンセサイザーで音楽を作ったりして楽しんでいます。
最後に、チャールズ氏にとっての万華鏡とは何ですか?
それは私にとって難しい質問で、万華鏡を作り始めた頃は考えもしませんでした。でも気がつけば数十年という長い月日を作家として過ごし、万華鏡は私の人生そのものを表しています。アイディアを与えてくれる家の窓から見える風景、世の中で起こっていること全てが私を作っています。

最後の質問を終えてふと窓の外に目をやると、すっかり日が暮れて空は夕焼け模様でした。私のインタビューにに時に深く考え、間を置きながら話してくれたチャールズ氏、万華鏡作りに対しての強いこだわりと情熱を感じた私は次にアトリエを案内してもらうことになりました。アトリエを出ると辺りは真っ暗で、メリーランドの広い空にはたくさんの星が見えていました。

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